起業を決めた瞬間から、やることリストは一気に膨れ上がる。法人設立、銀行口座、税務署への届出——そのなかに「ホームページどうする?」という問いが必ず出てくる。後回しにしたい気持ちはわかるけど、これ、意外と早めに手をつけておいたほうがいい。
起業時にホームページは本当に必要か?
結論から言うと、ほぼ必要。ただし「とにかく作れ」という話でもない。
たとえば、初期は知人の紹介だけで受注が回る業種もある。フリーランスのデザイナーやコンサルタントがそうだ。でも半年も経てば、紹介された相手が「ちょっとサイト見せて」と言ってくる。そのとき「まだ作ってないんです」は、それだけで信頼を削る。
法人なら取引先の与信審査でもサイトの有無は見られる。個人事業主でも、Googleで名前を検索して何も出てこないより、きちんとしたページがある方が話が進みやすい。「信頼のお守り」くらいの感覚で、起業と同時に準備しておくのが無難だ。
ホームページ制作の主な方法と費用感
大きく3つの選択肢がある。予算と手間のバランスで選ぶことになる。
自作(無料〜3万円程度)
ペライチ、STUDIO、Wixあたりを使えば、ノーコードで見た目のいいサイトが作れる。無料プランでも公開はできるけど、独自ドメイン(allecarico.jpのような)を使うには月額数百円〜のプランが必要になる。
手間はかかる。センスがある人なら3日で仕上げるけど、慣れていない人が「それなりに見えるもの」を作ろうとすると、1〜2週間は軽く消える。起業直後の時間をここに使うのが得策かどうかは、正直ケースバイケースだ。
テンプレート型サービス(月額1,000〜5,000円)
SquarespaceやJimdoのようなサービスは、テンプレートを選んで文章と画像を入れ替えるだけでそれなりに仕上がる。自作より少し楽で、制作会社に頼むより大幅に安い。
ただしSEOの自由度は低い。Googleに見つけてもらうための細かい設定ができないことが多く、後から「検索で全然出てこない」と悩む人は多い。
制作会社に依頼(30万〜100万円+)
費用の幅が大きいのは、会社によって何をどこまでやるかが全然違うから。30万円台はテンプレートを使った比較的シンプルな構成、100万円超えはオリジナルデザイン+SEO設計+コンテンツ制作まで込み、というイメージが多い。
起業直後にこの金額を出すのはきつい場合もある。ただし「安いから」だけで選ぶと、デザインだけ作って集客は自分でやってね、という状態になりがちなので注意が必要だ。
最低限必要なページ
最初から大量のページは要らない。以下の4〜5ページあれば、起業当初は十分に機能する。
- トップページ——何をしている会社か、3秒で伝わるように
- サービス・料金ページ——何を提供していて、いくらかかるか
- 会社概要・プロフィール——誰がやっているか、信頼の根拠になる
- お問い合わせページ——フォームか、メールアドレスか
- 実績・事例ページ——あれば強い。最初はなくてもいい
ページ数より内容の質の方が大事で、特にトップページの「最初の一文」で離脱するかどうかがほぼ決まる。「〇〇のことなら私たちにお任せください」という文章は、見た人の心に何も残らない。誰向けの、何のサービスなのかを具体的に書く方がずっといい。
制作会社を選ぶときに見ておきたいこと
失敗パターンで多いのはデザインだけを見て決めること。でも正直、契約した後に出てくる問題のほうがずっと後を引く。
相談でよく聞く話がある。「WordPressで作ってもらったのに自分では何も触れない」「テキスト1行変えるのに費用がかかる、月1回しか更新できない」。それだけならまだいい。解約しようとしたら「データの引き渡しに10万円かかります」と言われたケース、WordPressのはずなのにPHPに直書きされていて他社への移行もできないケース——どちらも1度や2度ではない。
安い業者の中には、意図的にユーザーがサイトを触れない構造にして、使い続けさせる仕組みにしているところがある。価格だけで選ぶと、数年後に「逃げられない」状態になる。
契約前に確認しておきたいのはこの2点。自分でどこまで更新できるか。解約時にデータはもらえるか、費用が発生するならいくらか。これをはぐらかされたら、そこには頼まないほうがいい。
なお、WordPressからWordPressへの移行であれば、弊社でも対応している。既存サイトのデータを抜き出して新しいサイトへ移行できる。移行元のデータの状況で費用が変わるので、まずは相談してほしい。
ほかにも確認しておきたいことを挙げておく。
- 納品後の修正対応——「修正は何回まで無料」「その後は1回〇円」など、契約前に確認する
- SEOへの対応——基本的なSEO設定(メタタグ、表示速度など)を含んでいるか
- 集客まで視野に入れているか——サイトを作るだけで終わる会社か、集客・広告まで相談できる会社か
最後の点は大きい。ホームページは作っただけでは集客ツールにならない。Googleに評価されるコンテンツを積むか、広告で人を連れてくるか、SNSで認知を広げるか——どれかと組み合わせて初めて動き出す。その戦略まで一緒に考えてくれる相手かどうかを見ておくといい。
まとめ
起業時のホームページに求めるのは、豪華さではなく「ちゃんと機能すること」だ。信頼を担保して、問い合わせが来て、検索でも見つけてもらえる——この3つが最初のゴールになる。
予算が限られているなら、自作でスタートして後から作り直すのも全然アリだ。ただし「とりあえずで作ったもの」を何年もそのまま使い続けている会社は多い。最初から「どこを目指すか」を決めておくと、後悔が減る。
何から手をつければいいかわからないときは、まず一度相談してみてほしい。作る前の段階から話を聞くことができる。